– Project 2

「全国初、酸素供給ユニットの
開発と稼働」

オカノだけが
できること 、
オカノにしか
できないこと。

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新型コロナウイルス感染症(以下コロナウイルス)がここまで社会に影響を与えるとは誰が予測しただろうか。未知のウイルスによる社会活動の停止、医療現場の混乱…。その状況は、沖縄でも起きていた。2021(令和3)年、当社は医療機関に入院できない患者の入院待機所で、全国初となる酸素供給ユニットを開発、稼働させた。

準備していた1号機を改良

全国初の取り組み。それは2021(令和3)年8月16日のある連絡がきっかけだった。沖縄県コロナ対策本部の担当者から、「酸素供給ユニットが見たい」との連絡を受け、沖縄市営業所で見学してもらった。コロナウイルスは収束が見えず、感染拡大が続いていた。特徴的な症状として呼吸器系の疾患につながり、酸素吸入が必要となる。当社では、従来の酸素濃縮型とは異なる酸素供給ユニットが必要になるかもしれないと想定し、2020(令和2)年夏には、酸素供給ユニット1号機を開発していた。

その後、厚生労働省と災害派遣医療チーム(DMAT)からも打診があり、8月19日に4人の職員が見学に訪れた。「すべてはこの日に始まった」と、当社担当者のメモには、そう走り書きされている。その日から怒涛の10日間が始まるとは、予想していなかった。

見学したメンバーからは、「沖縄市に入院が必要な患者を一時的に受け入れる入院待機所を設置する」「病床は50床」と提示された。運用開始については当初8月21日という案が出されたが、現実的に実現が厳しく、8月中の設置、稼働となった。ちょうどその頃、沖縄では旧盆休みの最中。急きょ、出勤できるメンバーを集め、ユニット開発チーム対策会議が開かれた。

業者が旧盆休みのため、材料の調達に頭を抱えた。「何でこのタイミングなんだ」「時間がなさすぎる」「すぐ調達できる材料は何があるか」「開いているホームセンターをまわってみよう」「まずはやりながら考えよう」と話し合い、1号機に加えてもう2台の酸素供給ユニットを製作する段取りをした。そこに、某病院に勤務するDMATメンバーの方からの要望が次々と入る。「酸素の残量が低下した時の対処方法は?」「台風や地震があった際にも耐えうる設備にしてほしい」「酸素が切れた場合の警報設備を設けてほしい」等、実際に医療現場で働く中での具体的な要望が挙げられ、製作図面に反映させた。

コミュニケーション密に社員一体で

2台の酸素供給ユニット製作と並行して行われたのが、新たに入院待機場所となる沖縄市民体育館でのチューブの配線作業。ユニット設置チームは、「とにかく時間に追われながらの作業。作業時間が限られていたため、間に合うのか、終わるのかと不安であった」との思いを抱えながら、作業を進めた。一方、供給ユニットの改良に追われるメンバーたちも「試運転をすると、酸素の供給量がうまく出ないなど、トラブルもあった。でも全員で知恵を出し合いながらなんとか対応した」と振り返る。さらに、ユニットの取り扱い説明書の制作等も行った。ユニット開発チーム、ユニット設置チーム、二つに分かれた作業だったが、コミュニケーションを取りながら進めた。

厚生労働省とDMATの依頼から1週間後の8月26日、改良した酸素供給ユニットの試運転を実施した。その後、調整を進め、警報装置などがきちんと作動することも確認し、8月28日に設置が完了した。 

休む間もなく、本島南部での入院待機所への設置がスタート。ここで使われるユニットは社内でフレームから作り、仕上げていった。「一部署だけでなく、他部署の社員も協力しながら、みんなで作り上げた」と現場の一体感が生み出した実績となった。さらに、那覇市の入院待機所にも当社のユニットが使用された。

ユニット開発・設置チームの奮闘は、社会に大きく貢献し、社内で表彰された。また、厚生労働省通知にも「液化酸素を用いた簡易的な酸素ステーションモデル」として取り上げられ、全国的にも関心を集めた。「当初はどうなるか不安だったけど、力を発揮できてよかった」。全国初の取り組みを達成した社員たちの表情は、満足感にあふれていた。

災害時の活用に大きな期待

DMAT 林洋克氏 コメント

2021(令和3)年8月の新型コロナウイルス感染症の第5波が到来した際、全国で初めて液体酸素を使った供給システムが構築され、沖縄で運用した。 拠点病院や重点医療機関の入院病床ひっ迫を少しでも緩和するための対応策であった。それまでは、酸素濃縮器で対応しており、電源確保は必須で、台風襲来や他の自然災害時には大きな負担となっていた。

液体酸素を使用するシステムのおかげで、電源は他の医療機器に供給するだけの必要最低限で済ますことができ、患者や傷病者に安定した酸素供給が行えた。また医療者も、安心して医療継続が可能。ベッドサイドではなく、1ヵ所でまとめて流量管理ができるので、スタッフの負担軽減や患者に酸素供給を意識させないことも大きな利点だった。

運用した施設は、沖縄県内3ヵ所。そのすべてに、オカノの力が大きく貢献した。そのことに感謝したい。

今回の経験を基に、大規模災害発生時の救護所や臨時医療施設内といった医療現場でも、酸素供給システム構築が可能なのではと考えている。また、車両に積載して運ぶことができれば、災害時に即時対応できるはず。これからの展開が期待できるシステムだ。

– Next Project

「豚熱(豚コレラ)への対応で炭酸ガスを供給」

「沖縄県内で産業ガス、医療ガスを取り扱っているのはオカノだけ」という事実を再確認できた。